ダクト工事とはダクトを取り付ける管工事のことです。ダクトとは気体を運ぶ管のことですが、天井裏などに設置されるため、普段はあまり目にする機会はありません。しかし、空調、換気、排煙などによって空気の流れを作り、快適な住環境を守るのに欠かせないものです。さまざまな材質でできた製品があるので、用途に応じて適切な製品を選択する必要があります。
ダクト工事の種類
主なダクト工事としては、次の3種類があります。
空調ダクト工事
冷暖房機器などの空調機器からの風を室内に流すためのダクトを設置する工事です。空調機器にダクトをつなぐのが主な作業になります。風を出したい場所に吹き出しファンを取り付けますが、ダクトが長い場合には途中に吸い込みファンを取り付けてスムーズに風が流れるようにします。
換気ダクト工事
室内の空気を入れ替えるためのダクトを設置する工事です。特に飲食店の場合は空気だけではなく、煙や臭いの排出にも使用されます。ダクトの両端に排気口、吸気口を取り付け、さらにその途中にストレートシロッコファンという装置を設置し、よどみなく換気が行えるようにします。
排煙ダクト
排煙ダクトは火災の際に、素早く煙を排出するためのダクトです。ダクト内の圧力が高く、風速がはやいことも特徴で、高圧ダクト、高速ダクトとも呼ばれています。消防法により点検とその報告が義務付けられています。
ダクト材の種類
ダクト工事で使われるダクト材は多種多様です。それぞれ次のような特徴があります。
特徴 | |
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亜鉛メッキ鋼板 |
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ステンレス鋼板 |
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ガルバニウム鋼板 |
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塩ビコーティング鋼板 |
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グラスウールダクト |
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ダクト工事の特徴
管工事の中でも水道管、ガス管などは途中で水やガスが漏れないように非常に頑丈な管が使われています。つなぎ目もボルトなどでしっかりと固定されています。一方、ダクトを通る空気は多少漏れても問題ありません。そのため、水道管やガス管と比較して簡単な作りになっています。つなぎ目もボルトではなくテープやコーキングが使われていることが特徴です。
ダクト工事に必要な資格
ダクト工事を監督するには資格が必要ですが、管理者の下で作業にあたるだけならばとくに資格は問われません。
管工事施工管理技士
水道管、ガス管などの配管工事同様に、ダクト工事の監督を行うには管工事施工管理技士の資格が必要です。
建設板金技能士
この資格がなければダクト工事を行えないというわけではありませんが、ダクト工事に必要な技術を持っていることを証明する資格です。試験は都道府県ごとに実施されています。
登録ダクト機関技能者
こちらもダクト工事に必須の資格ではありません。しかし、ダクト工事の現場調整など監督的な仕事を行えるようになります。