壁張り工事とは
壁紙やタイルなどの内装材を壁の下地に貼っていくのが壁張り工事です。こちらも天井の内装仕上と同じように、下地の精度によって用いられる工法が違います。下地の精度が良くて下地と内装仕上げ材との間に空間が必要ない場合は直貼り工法を使うことが出来ますが、下地の精度が悪かったり、断熱材などを配置する空間が必要な場合は胴縁工法を用います。胴縁とは天井の内装仕上における野縁のようなもので、壁の下地に内装材を取り付けるために柱・間柱の間に渡した水平材を指します。
壁材の種類とメリット・デメリット
壁の内装材の選択は部屋のデザインに大きな影響を与えるのはもちろん、メンテナンスのしやすさや断熱性、耐久性、そして費用にも関わる大切なものです。壁材にも様々なものがありますが、中でも代表的なクロス、塗り壁、木材、タイルの4つについて、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。家を新築する際は、壁材選びの参考にしてみてください。
クロス
クロスのメリットは、費用が安く抑えられることとその扱いやすさによる工期の短さにあります。その中でもポリ塩化ビニールで造られたビニールクロスは加工が容易なうえに花柄や木目調などのデザインも豊富なので人気があります。中性洗剤を溶かした水に浸けて固く絞った布で汚れを拭き取ることも出来るなど、掃除がしやすいのもメリットの一つです。ただ、結露しやすいというデメリットもあり、貼り合わせた部分が剥がれてくる場合もあります。
少し価格は高くなりますが、風合いが魅力の布クロスや紙クロスもあります。布クロスは合成繊維で織った壁紙で、高級感を求める人にはおすすめの壁材です。布クロスは調湿性や通気性にも優れています。ただ、施工が難しいため時には継ぎ目が目立ってしまう場合もあるというデメリットがあります。パルプや和紙で作られている紙クロスは、エンボス加工がされているものや紙の質感を活かしたものなど、デザイン性に優れていますが、強い力でこすると剥がれてしまうというデメリットがあります。
塗り壁
日本では昔からなじみのある塗り壁は、調湿性や防火性、防音性に優れている壁材です。種類も豊富で様々な質感を楽しむことが出来ますが、塗り壁に汚れが付いてしまった時に掃除をするのが難しいというデメリットがあります。珪藻土の塗り壁の場合はきれいな消しゴムを使えば汚れを落とす事も可能ですが、砂壁の場合は確実に汚れを落とす方法がなく、全面を塗り替えた方がいいという場合もあるんです。さらに、塗り壁の仕上がりは左官職人の腕に左右される面が多く、費用が高いうえに工期が長くかかります。
とはいえ、塗り壁は湿度の高い日本に適している壁材で、長く用いられているのも納得出来ます。デザイン性にも優れていて、消石灰が原料の漆喰は白色なので顔料を混ぜれば様々な色合いを楽しむことが可能です。また、プラスターは漆喰よりも安い費用で、漆喰と同じような質感を味わえます。ただし、プラスターには漆喰と違って防水性がありませんから、水回りには使用しない方が無難です。
木材
木材は、木目の違いや素材の持つ風合いを楽しむことが出来る壁材です。年数が経つにつれて趣きが増していくので人気もあります。壁に使われる木材には無垢材と合板がありますが、高級感を求めるなら無垢材、ナチュラルな雰囲気を大切にしたいなら合板を選ぶと良いでしょう。合板の壁材は、スギやブナ、カバなどをベニヤ板に仕上げ、1枚ずつ並べて接着剤で貼ることで壁に仕上げていますが、中でもシナの合板は木肌が美しく、建具や家具にも使われています。
ただし、木材はやはり経年劣化に弱いというデメリットがあります。湿気を吸いやすく、割れたり反ってしまったりしやすいので定期的に保護塗料を塗ってメンテナンスをする必要があります。特に丸太からそのまま切り出した無垢材は割れやひびが入りやすいので注意が必要です。梅雨時などはしっかり注意してください。
タイル
壁タイルの最大のメリットは、外壁にも使われることがあるほどの耐久性でしょう。少々の衝撃では壊れませんし、耐水性にも優れているのでキッチンや浴室、洗面所などの水回りにもよく使用されています。少しの汚れなら水拭きですぐに落ちる手入れのしやすさも魅力ですし、陶器質や磁器質など様々なデザインのものが用意されているところも人気の要因の一つです。複数の色や模様のタイルを組み合わせてオリジナルのデザインにするのも楽しいですね。
ただ、タイルにはコストが高いというデメリットがあります。水回りだけでなくリビングなどにも使えるタイルですが、あまり使用面積を広げてしまうとかなり値段が高くなるでしょう。また、浴室のタイル壁は下地部分にカビが生えやすい場合があるので、使用後はすぐに換気をして水気もすぐにふき取るようにしてください。